ネコチャンワールド

千利休が認めない男ビデオ

でかねこの戸締まり

12年前、突如天から啓示が降りかかった。

この猫を大切にしなさい。いずれ貴方の命を救うでしょう。

その声に従い、出河井ねこというオス猫はその猫を大切に育てていた。

しかし歳月が経ってもその猫が陽の目を浴びることはなく、彼は忘却することにしたのだった。

 

―現在―

横浜市港南区で原因不明の災害が発生中❗ 住民は直ちに避難してください❗

爆音の非常サイレンが市街地に鳴り響き、たくさんの人が泣き喚いていた。

現地の寿司屋に着く直前、彼は巨大なメスの四足獣の姿を目撃した。しかし彼以外の人には見えていない様子で、皆が生き残るために災害から目を逸らしていた。

ねこはおもむろに鎖を取り出し、四足獣を拘束するため動き回った。

その時ふと頭によぎった12年前の猫が脳内で喋り始める。

巨大な厄災を封印するには私の力がないとダメみたいだな❗ 日本の封印は弱いな❗私を見ろ❗絶対死なないぞ❗

猫のことを考えると頭頂部に向かってエネルギーが湧きあがり、瞬時のうちに獣は封印された。

このまま大分県に向かえ、行けばすべてがわかる。

啓示に従い、ねこは猫の本体を探す旅に出た。

 

数日後―

猫の示した宇佐の商業施設に辿り着いたねこは呆然と立ち尽くすしかなかった。

大きな猫は既に封印されてしまい、彼を救い出す方法はないという現実。

救われた恩がある と言っても呪縛は解けない。嘘の啓示に騙された。

そのような感情があふれ出し、最終的にねこ自身が大きな災害になりかけていた。

もう、猫なんて信じなければよかった――

そう思いながらも憎しみに体を委ね、ねこは自我を失っていく……

さようなら、全てのかなしみたちよ……

 

何兆年もの月日が経った気がするし、一瞬だったような気もする。

そう思いながら彼は何もない空間で目を覚ます。

その視線の先には椎茸帽子を被った大きな猫が鎮座していた。遠くには彷徨う子猫もいた。

そうか、必要なものは最初からここに存在してたんだ❗❗❗

ねこは子猫に大きな猫の存在を知らせ、大事にするように話した。

自分しか知らない猫を忘れないように知らせていく。その使命があることを強く認識させられた。

精神が浄化され、元の体に戻っていくのが感じられた。

 

数日後ねこはこの猫の存在を周知させるべく、インターネットで絵や写真で布教し始めた。

予想よりも反響は大きく、海外からの反応も少なくなかった。

時を超えた執着が全てを繋ぐ日まで、猫を広め続けるのかもしれない……

 

 

追記

にゃんこ教 聖典

・初めに、巨大な猫があった。猫は光を欲すると光がそこに現れた。第一日のことであった。

・猫は光に釣られて歩きまわると足跡から生命が生まれた。第二日のことであった。

・猫は、Andum Tresno Mas Ugo Andum Wektu とつぶやいた。 そこに二匹のメス猫があった。第三日のことであった。

・巨大な猫は常に存在し続け、私たちの生活を見守っている。だから猫の存在をやさしく思い続けることで猫を愛してあげねばならない。

・猫は様々な姿でこの世界に顕現する。いかなる時もねこを心に抱くことでその姿に隠れた本質としての猫に接することができる。